2016年4月12日
akira's view 入山映ブログ 北方領土
中国の次はロシアだ。まさか示し合わせて民主党内閣を揺さぶっているという話でもなかろうが、こちらの方は「実効支配」のデモンストレーションだけに、手も足も出ないもどかしさは一入だ。漁民に移住されても、地熱発電所を作られても、ビザなしで人目をはばかって上陸させていただくくらいが関の山で、お定まりの「国際世論に訴え」てみても、全く一顧だにされない、というのではただ虚しさだけが色濃い。ロシア経済が不調で、シベリア開発に日本の協力が唯一の頼りだった頃は過ぎて、日本経済は不調、天然資源獲得に先進諸国が血眼になってくれば、北方諸島について余り日本を刺激したくない、という気遣いは不要になりかかってくる。
百年待っても四島返還に応じる相手ではないのなら、いっそ二島で、いや三島で手を打つ方が賢明ではないか、とはゆかないのが領土問題の悩ましさで、ことが単なる現実的な経済利害だけでは割り切れたりしないから厄介だ。話し合いによって相手の理性に訴えようにも、中国ほどではないにしても開かれた民主主義国とはとても申しかねるお国ぶりであってみれば、こちらの言い分を相手国のメディアに流すなどは金輪際期待できっこない。さりとてあの國の言論が西側並みに自由になるのを待つ、というのでは、これまた気が遠くなる様な話だ。要するに打つ手がないに近い。
取りあえず二島だけ返して頂き、残りはゆっくり議論を、というのも、手のうちは見透かされてそれには応じない、というのだから、まさに八方ふさがりというべきだろう。現在の日本外交というのは、要するに筋の通らない妥協はしない。つまり四島全部が帰ってこなければダメだ、という態度を貫く。結果二島さえ日本の実効支配下におけなくても、それはやむを得ない。未来永劫に四島は日本固有の領土だと言い続けることに意味がある。それによる実害は軽微であり、なまじ原則論を放棄することによるダメージの方が遥かに大きい、と判断している訳だ。
第二次大戦終結時のあらゆる国際法を無視したソ連の蛮行の果実だけがロシアに継承されている。この國との間にはまだ第二次大戦の戦後処理が終わっていないのだ。民主党政権は鳩山首相の信ずべからざる愚行によってこの問題を解決する緒を完全に放棄した。当分は解決能力がない、と見るのが妥当だろうし、無定見に解決を目指されたりしたら悔いを千載に残す。解決策はない、という既成事実を作るのがこれまでのロシア外交の要諦だったし、当分はそれが変化することを期待する理由もない。日本がとりうる選択肢の数はそんなに多くはない。
2010年 11月 06日