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2016年4月26日

緑色の大砲(5)―船の話 Ⅳ― 丸山 薫

 後年になって僕はその謎の中で、数世紀前のイギリスやスペインの貿易船が大砲を装備したり、船員以外の陸兵までも乗り組ませて、他国の商船隊を海上で襲ったという話を何かの本で読んだ。そしてその時代の海上陸兵の名残が現在のマリン(海兵隊)だということも知ったりした。僕はヨーロッパの海軍の歴史を、恒春丸の大砲の疑問に結び付けて考えてもみた。だが明治時代の日本の商船が海賊の真似事をはたらいたとは、中学生の僕にさえ想像も出来ない事だった。
 ところで更に後年になって、謎はようやくに解けたような気がし始めた。――いうのは、僕が韓国へ渡ったのは、日露戦争の最中だったことを確かめたからであった。つまり恒春丸は武装していたのではなかったかという推定である。詳しくいうなら、実に明治三十八年五月二十五日の夜から翌日の朝にかけて、僕はその翌日に行われた大海戦の舞台を横切ったのであった。



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