2016年4月28日
黒百合とスズラン(2) 野村章恒
北海道から黒百合の球根を買って帰っても唄にあるような恋の花の咲くのを待つわけでもなかった。私は百貨店から確かに黒百合の球を買って百合園にうえた筈であるが、花も咲かず二年共梅雨に入るまえにくさってしまうのであった。
白老のアイヌ部落では、江の島あたりで土産物のサザエを売るように多数のおかみさんがスズランとクロユリ、エゾユリの球根を売っていた。
スズランは私の庭にはもう数年前から植えられていて株もだんだん増えている。私はスズランには免疫しているが、エゾユリだけを一包かってみた。北海道の土と共に植えたクロユリが芽をふくかどうか私は大した期待をもたず明春をまつつもりでいる。(慈恵医大教授、精神科)