2016年5月6日
北海道の原生花園(2) 野村彰恒
槿(ムクゲ)の花と一番よく似ていると突差に私は自分に言いきかせた。ムクゲは灌木であってお盆の頃墓のまわりに淋しい紫赤色の花をつけるのである。武蔵野に移って農家の人と親しくなって花が三つ四つ咲いた槿の木を一本貰ってうえた。それが今では一丈もの長さに生びている。妻の親しかったこの木を呉れた老夫妻も相前後して死んだ。私はこの花を切って仏前に供える気がしない。それはもちが悪いからでなくなんとなく淋しい感じがするからである。関東地方ではウツギと同様に畑の境の印によく植えられていた。
ハマナスを足元にみた私は、その色からこんな連想をしたのではない。バスのなかで窓から見ながら思ったのである。身近にこの花をみたとき、ハマナスはバラ科だということを発見しておどろいたのであった。