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2016年5月9日

akira's view 入山映ブログ 非営利(3)

 「いいとこ取り」は出来ない、というのはほぼ常識に属するのだが、現実問題としてはこれがよく忘れられる。福祉はいっぱい、税金は安く、とか、学識豊かな人格者、みたいな誘惑にはつい乗ってしまう。選挙の公約ならどうせ本気にしていないから罪は少ない(ちなみにマニフェストを本気で守るべきだ、というのが権力闘争の武器になる、というのはこの視点から見ると実に面白い。)から良いのだが、「そもそも」の原則論とか社会科学としての議論、ということになると話は変わってくる。

 前回に言及した市民社会、あるいは民間非営利活動だっていいことばかりではない、というのがこれだ。自己利益の極大化、という動機は生産活動の効率化をもたらす、というのは歴史によって証明されている。だがそれを否定して「世のため人のため」が動機だ、ということになると活動が効率的に行われる保証はない。従って、貴重な社会資源の浪費に繋がりかねないのだが、まあそれが善意に基づいて拠出された浄財(つまり任意の寄付)の処分にとどまっている分には良い、としよう。税金の使い勝手を民間非営利組織に委せる、ということになると話は別だ。

 無愛想なお役所仕事で我慢するか、多少能率の点では問題があるものの、お役所よりは少しはマシな民間非営利組織を選ぶか、という選択が唯一のものなのか、そのサービス提供コンペの対象を営利組織にまで広げるか、というところまで視野を拡大する必要があるかもしれない。これはこれで、より利益率の高い仕事を見つけて営利組織が撤退してしまったら、そのサービスの提供を受けていた人々(特に福祉分野などの場合)はどうするんだ、という問題があるのは周知の通りだ。詳論を避ければ、要は優先順位(priority)の問題だということになる。「いいとこどり」は出来ないよ、ということだ。

 民間非営利組織の効率の悪さ、というはしかし、これら組織が持っている非民主的な成り立ち、という短所に比べれば二義的なものにすぎないと考えることも出来る。つまり、お役所がいかに無愛想だろうが、能率が悪かろうが、その成り立ちは選挙によって選ばれた代議士、というワンクッションをおいて、制度的に国民の支持を受けている、という擬制が成立する。しかし、民間非営利組織とかNPOというのは基本的に自薦の組織だ。つまり「世のため人のため」になる、と「自分が勝手に」思い込んだ人々がやっている、というに過ぎない。システムとして市民の支持を受けているという保証はない。従って、責任の取りようもなければ、追求のしようもない、という答責性(accountability)の罠に陥ることになる。と、話が理に落ちたようだから、次回は少し観点を変えて民間非営利組織、あるいは営利組織について述べてみることにする。

2010年 12月 24日



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