2016年5月9日
北海道の原生花園(3) 野村彰恒
ヒオウギアヤメの群落も美しい。南極探険隊の設備訓練場につかわれたとうふつ湖は、真冬に凍結し厳寒地となる。その砂州に冬をこし多年生の根からこの紫と青の美しい花を咲きつづけることは生命の神秘というほかはない。私もアヤメは数株うえている。花を愛し花に慰められるには育てるということが大切である。然し時間をもたないものは、ほっておいても毎年季節に花を咲かして見せてくれる多年生のものが都合がよい。冬になっても葉の枯れないイチハツは白い花をつけて春を早く知らして呉れるが、その葉の形も色もよいものである。アヤメが次に咲く。五寸アヤメとそれよりも脊の高いのがある。それから六月下旬にショウブが咲く。森田療法の患者さんは入れかわりが早いのでこの似たような植物の相違について教えるのには困難をかんずるのである。