2016年5月17日
よしなしごと(1) 斎藤玉男
二者択一と言うことは、厳義ではそうザラにある成行きではないであろう。併しそれに紛らわしい成行きは日常生活に中々多いのではないかと思われる。それが多いだけそれだけ大なり小なり人生不安の種の一つと考えてよいのではないか。従来の精神医学では不安のこの面を軽く扱ひ過ぎたのではないか。
こうした不安(家庭不安から社会不安まで、個の劣等感から政治経済の不安定感まで)を救う手近い途は、あまり厳しく択一にこだわらないこと、又は行当りばッたりで全然択一を考えないこと、それでなければ至厳至密に択一を推進めること、その代り択一の成果については一切成否ともに愚痴らないこと、これが精神衛生の要諦であるのではないか。言って見れば何でもないことではあるが。
今日も晴天である。手持の仕事とてない。縁側に居て何となく雲を眺める。「お天道様、ほんとに有難う。」すべての人にこうした時間が恵まれてありたい。