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2016年5月24日

akira's view 入山映ブログ ベルリン・バレー

 概してバレエ音楽には凡庸なものが多い。だからチャイコフスキーやストラビンスキーはよけいに貴重なのだが、今回訪日のベルリン・バレエ公演の演目に「チャイコフスキー物語」というのがあった時、これはチャイコフスキーのバレエ音楽の「さわり」の部分だけを抜き出して、やれパ・ド・ドゥだ、群舞だというのをふんだんに見せてくれるに相違ない、なんて勝手に思い込んでいた。

 とんでもない思い違いで、コレオグラファー、ボリス・エイフマンの創作バレーで、初演は1993年というからバレー好きは先刻ご承知の話だったようだ。それでもチャイコフスキーの音楽の「さわり」を集めた、というところだけはまんざら間違っていない。「悲愴」が出てきたり、イタリア奇想曲が流れたり、と、それは楽しいものがあった。要はチャイコフスキー一代記で、どうにも神経症的で陰鬱なチャイコフスキー像が展開する。余りといえば余りのいわれよう、みたいな夫人の描かれ方に比して、例のフォン・メック夫人は妖精もかくやだったり、嫉妬に狂ったりと忙しい。それにつけても主演のマラーホフの人間離れした舞踊能力にはただ唖然とするだけだ。

 気のせいかもしれないが、バレー公演の方が観客の年齢層が若いような気がする。ひとつにはバレーを志す人や関係者とおぼしき人々が多く見られることによるのかもしれないが。上野文化会館の公演だったが、主催の佐々木さん主宰のNBSの躾けが行き届いているためか、NHKホールでのN響公演の時のロビーのような騒音・雑音がないのは心地よい。あれはNHKのご指導か、サービスのつもりでやっていらっしゃるのかどうかは知らないが、入り口のモギリが「いらっしゃいませ」の「ごゆっくりどうぞ」のと騒がしいのから始まって、やれ会報はこちらの、臨時公演の切符はあちらの、といいたてる。そのうえ、お弁当はこちらで、ワインはあちら。CDも売ってます。これが全部肉声のご案内だから、まるで「おせんにキャラメル」もかくやの有様。その上場内放送はひっきりなし、という始末だから、音を楽しみに来ている人間にとってはほとんど拷問ともいうべきだ。

 会長人事ですっかり無様な所を見せたNHKだが、ことは顧客のニーズの把握がとんちんかんだ、という点においては共通するものがある。要するに身内の論理、お身内の常識が先行する、という話なのだ。だから朝っぱらからメジャーリーグの試合を放送したり、民放そこのけのバラエティを放映したがったりするのではなかろうか。

2011年 01月 24日



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