2016年5月30日
akira's view 入山映ブログ 鳩山由紀夫
鳩山由紀夫氏が外国特派員協会のプロフェッショナル・ランチョンで話すというから、物珍しさも手伝って出かけてみた。ところが、物珍しいどころではなく、これで九回目の出演(?)だという。まんざら珍奇や奇抜のウリでは九回という訳にもゆくまい。事実、会場からの拍手の具合などを聴いていると、まんざらサクラの所業とも思われず、それなりに人気がおありのようだから世の中は広いものだと思う。
最初の小一時間は用意した原稿の棒読みだ。英語だというのがメダマなのだろうが、政治家がこれをおやりになると、とかく内容がない美辞麗句のうえに長過ぎる嫌いがある。鳩山氏のもご他聞に漏れなかったが、最後に二点だけ強調されたのがさわりといえばさわりか。二点というのは、一つが例の「新しい公共」で、第二もおなじみ東アジア共同体、友愛の海だ。内容は例によってどうということもないのだが、「新しい公共」の方は英語なのでつい本音が出てしまったのか、財政赤字でとても全ての公共サービスを税金でまかなう訳にはゆかない。公的サービス提供の安上がりな代替手段として有望だ、とぬけぬけとおっしゃる。寄付免税くらい大盤振る舞いしてもおつりが来る、といわんばかりなのだが、これも例によって感度が鈍い東京の特派員たちはメッセージを受け取り損なっていたようだった。
東アジアの方は、用意周到に日米関係こそが安定の基軸、と前説をふるのはお忘れになっていないが、要はそれと同等に大事なのがアジア諸国だ、というくだりで、二国間関係を軸に友好関係を積み上げて日米と同等の重みを持たせるのが望ましいらしい。それがいかにすれば可能で、マルチな「友愛の海」というのは、中国の軍拡に対してどういう態度を取るということなのか、については案の定何の言及もない。後の質疑応答の中で、中国との間には首脳どうしの信頼関係樹立が最も大事だ。私は時間がなくて十分に出来なかったのが残念だった、とおっしゃる。日米首脳間の信頼関係を大きく毀損なさったことに対する認識は全くお持ちになっていないようにお見受けした。
質疑応答の中で、小沢問題についての意見を求められ、裁判の中で白日の下に無罪をかちとることを信じている。その暁には、国難のときには強いリーダーが求められるから、必ずや再度小沢時代が来るだろう、と言ってのけたのにはいささか驚いた。同様に、菅首相のTPPへの執心は理解できない。アジア外交の基軸は二国間関係であるべきだ、菅さんは官僚の筋書きにのせられていらっしゃるのだろうという。この官僚のシナリオ説というのはお気に入りの様で、普天間問題についても、国外・県外移設が出来なかったのは、それが必然だったというよりは、外務省、防衛省などの役人が、それ以外の選択肢を頑として拒んだからで、それが心残りだ、と未練たっぷり。要するにこの方は、経験から学習する、ということが全くないお人だとお見受けしたことだった。
2011年 02月 02日