2016年6月2日
akira's view 入山映ブログ 日本相撲協会
今回の八百長騒ぎに関連して、日本相撲協会の公益法人格についてあれこれ論評されている。おおよそのところを要約すると、現在相撲協会は公益法人として税制上の優遇措置を受けている。今度の事件で、公益法人としての地位そのものが怪しくなるかもしれない。もしそうなると、国技館を始め、相撲協会の資産は国(または類似の公益法人)に寄付というか、没収されることになる、というもの。いまひとつは、現在のステータスはともかくとして、近々新しい制度に移行する事になるが、こんなことでは新しい制度の下で新・公益法人として認められることは難しかろう。そうなるとやはり財産はお召し上げになるよ。という話だ。
相撲協会の財産がどこに没収されようが、それは相撲協会関係者がお悩みになれば良い話だが、この議論の中で、例によってマスコミは全く触れようともしないが見過ごしておない点がいくつかある。
一つは現在の公益法人制度を巡る問題点だ。周知のように、現在は公益法人として認めるか認めないかは全くお役所の胸三寸。たとえその判断について異議があろうとも、裁判所に訴えることさえ出来ない。というべらぼうな世界だ。勿論お役所に公益法人を厳重に指導監督する責任があることはいうまでもない。だから大臣やお役人が、放駒親方が文部科学省に出向き、平身低頭して謝罪するのを神妙な顔で聞いた挙げ句。けしからんから厳重にどうたらこうたら、と第三者のような顔をして能書きを垂れるのはおかしいので、お役所は指導監督責任を怠ったという意味で共犯関係にある。天下りを押し込む時だけはお役所のご威光で。何十年も八百長を見過ごしてきたのには何の責任もない、なんて都合の良い理屈は通らない。
いくらなんでもそれはひどい。こんなべらぼうな制度は何とかしなくてはならない。と、新公益法人制度なるものが成立した。ところが、なぜかこれが箸にも棒にもかからないひどい出来だ。これについてはこれまでに何度も書いている(「公益法人制度改革」08.2.7以来数回)。それはともかくとして、この馬鹿げた法律に従って新・法人に移行するタイム・リミットが後2年くらいしかない。新しい制度の公益認定をクリヤー出来るかどうかは、公益等認定委員会という第三者委員会の判断によるのだが、現在の八百長体質を抱えたままではそれも難しいだろう、という話もある。実のところ、公益などというつかみどころのない枯れ尾花みたいなものに振り回されているところに問題があり、ことは非営利で足りる、という点についても何度か(「非営利」10.12.21-26)触れた。
税金を軽くするかどうか、という話と八百長をしても良いかどうか、という話を混同してはなるまい。全く同じように。お役所の手あかの着いた税制優遇というアメ玉のついた「公益」という呪縛からも、いい加減に目が覚めても良い頃だと思うのだが。
2011年 02月 08日