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2016年6月9日

akira's view 入山映ブログ マリンスキー・オペラ

 ゲルギエフがマリンスキーオペラを率いてやって来た。「影のない女」「トロイの人々」なんてという玄人好みの演目は敬遠して、やはり「トゥーランドット」しかないでしょう、と聴きに行ってきた。

 このところTVで例のバイエルン歌劇場のえらく近代的なワーグナーの舞台を立て続けに観て、ナチスまがいの衣装やら、建て売り住宅みたいなローエングリンのセットなどにいささか食傷気味だったから、マリンスキーのオーソドックスな舞台構成に先ずは安心した。別に奇をてらわなくても、いろいろ工夫の仕方はあるじゃないか、という感じである。

 キャストについていえば、こちらが無知なのかは知れないが、トゥーランドットのグレギーナを除いては、全く聞いたこともない歌手ばかり。カラフがガルージン、リューがゲルズマーワ、ティムールがウォロヒエフ、といった具合で全員ロシア人の歌い手なのだが、これがなかなかの出来だった。カラフは少し声の質が暗いのが気にはなったが、例の「誰も寝てはならぬ」を筆頭に熱唱を聞かせてくれた。中でもリューは素敵な声で、合唱の中から一際抜け出して聞こえてくる声量もあり、そうでなくても儲け役のこの役の演技に、すっかり聴衆の関心を独り占めにした感さえあった。グレギーナは例によって大ざっぱな歌いぶりだが、珍しく弱声に工夫を凝らしたりして頑張っていた。ピン・ポン・パンもややこじんまりとしてはいたものの、それなりにまとまっていたといって良いだろう。

 これを要するに満足感のある舞台であったというべく、充実した公演だったように思う。ただし、これはゲルギエフに限らず最近の傾向のようにも思われるのだが、アリアの後で拍手するのを受け付けない気味がある。異見もあるかとは思うが、筆者などはオペラを聴いて、素敵なアリアの後には「どうする、どうする」と叫びたくなる方だから、余り禁欲的なあり方よりは、かつてのブラヴォーで舞台が数分途切れる、というのが好みではある。

 マチネーだったこともあって、大塚の三浦屋で「ふぐ」を食べて帰った。トゥーランドットの後にふぐさしと雑炊が食べられる、なんていうのは日本人に生まれてよかった、という思いである。少々お粗末な政治にしか恵まれない国ではあるが、やはり他の国を選ぶ気はしないということだった。

2011年 02月 21日



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