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2016年6月15日

コトバ、とりわけ詩のコトバについての管見(5) 斎藤玉男

 現代はオートメーション万能時代の始まりである。人々はオートマート作りの自動車を走らせ、オートマート織の衣装をまとひ、オートマート詰めのジユースを飲み、電子計算器仕上げの税金を支払はされる。ゆくゆく人の一生はオートマートの分娩器で産まれ、オートマート式に手術や葬儀を受けることにもなるであろう。
 これは個人の私生活だけでなく、既に広い社会の生活面でマス・コミュニケーションの形で全地域、延いては全人類をオートマ化し始めて居る。それは何よりも先ずコトバのオートマ化から着手された。言うまでもなく、放送化ということはそのままコトバの汎化であるが、コトバの放送がコトバの意味の汎化である限り、それは意味の代演、従って意味の連鎖である思想の汎化、押売りということになる。聴取者は初めは好奇からいつとなく習慣的に汎化に慣れることになり、やがて自身で思惟し判断することの代りに、放送が宣布する思想に依存するようになって来たことに気付かなくなる。彼にとってはものを考えることが煩わしくなって、次第に思想の自主性を失う結果になる。これはまさしく現代文化の新しい危機と呼ぶに値しないか。かくてコトバのオートマート化は人々から自から考えようとする力を奪い、考えずに済まそうとする人類の新類型を養い立てる。思想の汎化は汎化だけに止らずにその凡化にまで到らずには止まない。もはやコトダマ、センサクの時代は過ぎたとする外はないようである。



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