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2016年6月20日

akira's view 入山映ブログ フィレンツェ歌劇場

 フィレンツェ歌劇場の「運命の力」を聴いて来た。今回フィレンツェの引っ越し公演はこれとトスカの二つしか持って来ていない。まさかご他聞に漏れぬイタリア歌劇場の財政事情でもないだろうが、それだけに力の入れ方も違うのでは、と期待した舞台ではあった。

 レオノーラのアマリッリ・ニッツア、アルヴァーロのワルター・フラッカーロはいづれも初めて聴く歌手だったが、なかなかの出来だった。レオノーラは例によって第一幕ではどうなることかと不安を覚えさせたが、尻上がりの出来になった。特に第二幕の修道院入りの場面は、これまで退屈な場面だ、位にしか思っていなかったが、グアルティアーノ神父を歌ったロベルト・スカンディウッツィの素晴らしい歌唱力が、元気を取り戻したニッツアとかみ合って、極めて魅力的な場面だった。こんなに迫力ある場面だったんだ、という感じである。ドン・カルロのロベルト・フロンターリ、それにもうけ役のプレツィオシッラを歌ったエレーナ・マクシモワも良い出来で、心から堪能できた舞台になった。シチリアとヴェニスで、それなりに楽しめるものの、今ひとつ迫力という点で物足りないオペラを観た後だったから、この公演の完成度の高さにはさすが、と感じたことだった。

 トスカも、初めて聴く歌手たちの出演だが、この分なら楽しめそうだ、と期待していたのだが、この「運命の力」の初演を最後に突如帰国するのだという。震災とそれに伴う原発事故による緊急の対応だろうが、フィレンツェ市長からの帰国命令だというから、ヨーロッパにおいて日本の震災後の状況がどのようなものと認識されているかを端的に示したものだろう。フランス政府が自国民の緊急帰国の手配を取った、というのと同じ路線の上にある。楽しみにしていたトスカは聴けなくなったが、運命の力だけでも聴けたのは幸いだといわねばならないだろう。

 震災の傷跡からまだ夥しい出血が続いている中で、のんびりオペラ評のブログでもないだろう、ということかもしれないが、こんな時であればこそ敢然と公演に踏み切った関係者の英断には敬意を表するし、こんな時であればこそ至福の一時の価値はいや増そうというものではないかと思う。会場ロビーの中央に震災義援金の箱が備えられていた。きっと沢山集まったのではないだろうか。

 佐々木さんのNBS主催の公演だったが、今回も彼の姿は見えなかった。よほど健康状態が優れないのだろうか。一日も早い本復を祈る。

2011年 03月 16日



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