2016年6月20日
韓国への旅(1) 砂原美智子
三月中旬から一週間私は韓国に出かけた。文化交流という名目で招待されたのだけれど、仕事を離れての海外旅行はこれが私にとって始めてであった。それ丈に何時も抱く様な異常な緊張感もなく本当にたのしい旅だった。
げんみつに云えば京城には二十年前に一度行って居るので、今度は二度目だったのだけれど、前回は学生時代でしかも非常に短期日だったから、あまり記憶力のよくない私には、殆んど今回が始めてと云った方がよい位い頭の中は白紙状態だった。間に大きな戦争をはさんでの事だから街の様子も大変に変って居たに違いない。京城を出発する前私は種々の友達からいろいろとあれこれ、本当らしく知識を植えつけられた。先ず禁じられた事は、京城についたら (1)決して日本語を大声で話さない事 (2)日本の歌は決して歌わない事、たとえどこかで歌わなくてはならない状態になっても日本の歌は選ばない事 (3)日本の着物を着ない事 (4)何も物資がないから身の廻りの必要品は絶対に忘れずに持参の事、等々。