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2016年6月21日

akira's view 入山映ブログ 福島原発

 イスラエルの友人から電話。日本人の恋女房を口説き落とし、エルサレムとロンドンに居を構える得体の知れない情報通のユダヤ人だ。何十年の付き合いになる好漢である。わざわざ電話してきて言うには「入山さん、福島の原発の状態は日本政府の公式発表よりずっと危ない。すぐ子供たちと西へ行った方がよい。京都でも、大阪でも。本当はこちらへ来た方が良いね。アパートはすぐ手配できる。何だったらしばらく僕の家に住んだら良い。」「イスラエル始め、EUも専門家を派遣しようと日本政府に打診しているのだが全く奇妙な反応しか帰ってこない。必要ない、状態はコントロールできる、の一点張りだ。」「すぐ出発しなさい。遅くなると大混乱で動きがとれなくなるよ。」「ブルース・ウィリスばりの軍隊による放水の勇敢さには敬意を払うが、ほとんど児戯に等しい対策じゃないか。こんな方策しかないようでは末期症状だよ。一時間でも早く東京を離れた方がよい。」

 さすがに薄気味が悪くなって京都のホテルの空室状況などをネットで調べたりもした。海外の論調と言えば、日本政府の50キロ離れれば安全、というのを80キロ離れなければ安全ではない、とか、大使館機能を大阪に移した、あるいは在留自国人の緊急帰国手配とか、日本政府の人事を尽くしつつ事態静観、とも言うべき態度とはかなりの違いを見せている。もっとも、ワシントン・ポストのアン・アップルバウムのように「日本人が安全な原子炉を作れないとしたら、世界中で誰が作れるというのだ」みたいな異見も聞かれはするのだが。子供(といってももう四十を超えているのだが)や孫の都合を聞いてみると、なかなか今日明日に東京を離れる決心は出来ないようだ。孫をおいて自分たちだけ、というのも順序が逆のような気がして優柔不断になっている。

 緊急事態に何でもかんでも情報を開示する訳には行かないだろうし、すべきでもないだろう。だから、合理的な疑いを抱くに足るかどうかの情報を整理分析して供給するのはマスコミの役目になる。ところが、おちゃらけにぎやか風のバラエティ・ニュースしか経験がないか、政府広報に毛の生えたような報道しかしたことがないか、の二者択一みたいな有様で、外国メディアの報道の一部が歪んだ形でネットを通じて流布したりする。政府要人の記者会見における質問の馬鹿馬鹿しさは昨日今日始まったことではないが、理論的、分析的に要を得た質問をする技術を全く持ち合わせていないかのごとくである。かくて国民は疑心暗鬼のうちにおかれる事になる。TVが入った被災地に灯油がない、おむつがない、と報道されてから一日経っても、事態が改善しない、というのはマスコミの非力を端的に物語る。政治には絶望しているから、ついマスコミの悪口になるが、それを言っていても仕方がない。さて京の宿でも予約しようかな。

2011年 03月 18日



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