2016年6月22日
韓国への旅(3) 砂原美智子
一番喜ばれたのはたった一枚、念の為と思って持って行った日本の着物、そして次が我々の話す日本語、そして次が日本の歌であった。毎日ギッシリつまったスケジュールに自分の時間と云うものは全然なかったが、それでも帰国前やっと都合して貰って一時間の自由時間に急いで街の中を歩いた時、ゴミ々々とした細い道を通って大ぜいの人達が群山をなしている様な市場の中を歩いた時、この時程、本当に韓国人と日本人とのつながり、理くつを抜きにして何か通うものを強く感じた時はなかった。長い間使わなかった日本語を一生懸命思い出しながら、かんで含める様にして話しかけてこられた時、その日本語を聞いた時、私は本当の所ジーンと胸があつくなってしまった。
政冶家はその立ち場からいろくと我々にわからない取りきめもあり、外交政策もある事と思うけれども、ごく一部の政治家を除いた市民一般は日本人をなつかしみ、そこで何かを日本人にもとめている事は事実であろう。