2016年6月23日
akira's view 入山映ブログ 大震災(3)
今回事故の発生した福島第一の発電機が再度送電を行う可能性は、枝野官房長官も言うように限りなくゼロに近いだろう。東京電力の電力供給の中で原子力発電の占める割合は3割弱と公表されている。そのうち福島第一の占める比率は3割強。従って、福島第一からの電力供給がストップする影響は、机上の計算では総供給量の1割程度と考えてよいことになる。
夏季の電力需要は、冬季に比べて2割ほど多いとされる。だから、供給能力が夏の電力需要に対応しているのならば、今回の事故による影響程度は吸収する筈ではないか、と素人は考えるのだが、そうではなくて、計画停電やむなしという騒ぎになっている。冬でこの始末なら、今年の夏に何が起きるか。考えるだけで慄然とするではないか。
現在ただいまは緊急事態に対応するのに精一杯だ、ということかもしれないが、こうしたマクロな見通しについての情報提供が全くなされていないのは問題だと思う。電力業界に身を置く人に取っては、おそらく常識に属するだろうこうした情報一つ一般に公開されない、というのでは、秘密主義、知らしむべからず主義、と言われても仕方がないのではないか。こんなデータについて初歩的な追求さえ出来ないマスコミもどうかと思う。お涙ちょうだいや紋切り型に終始して安心しているように見えて仕方がない、
インターネット時代だから、とその辺りの情報を求めて東京電力のHPを検索してみれば、いかに原発が安全で、いかに地震対策には万全を期しているか、どんな地震や津波がきても大丈夫、という空々しい文章の羅列に遭遇する事になる。そのとき考えていた前提のどこに誤りがあったかについての広報も説明も全くない。
過ちて改めざる、これを過ちという、と何千年も前に孔子は言っている。なぜ過ったかさえ解らないようでは、それを教訓として再発を防ぐ術もないではないか。緊急事態への対応で関係者が大変なのは理解できる。しかし、発生している危機状態への対応と共に、その影響についての的確な情報提供も同様に大切だと言う認識が関係者には欠けているのではないか。特に司令官というのは、現場第一線の関係者の士気昂揚も大事だが、ロジスティックスを含む総合対策の方向を示すことも職務の重要な部分だ。現場にでかけていればよい、というものでもない。
放っておいても、百数十日経てば夏はやってくる。その程度の展望さえ描けないような経営者が存在することを許されるのならば、やはり政治とか、競争の存在しない独占企業というのは、別世界なのかもしれない。それが国民にとって不幸なのは言うまでもない。
2011年 03月 21日