2016年6月24日
akira's view 入山映ブログ 大震災(4)
先のブログに誤りがあったので訂正しておきたい。東電の発表では、原発に加えて、広野・日立那珂の二カ所の火力発電所が地震の被害を受け、発電できない。このため480万KWがうしなわれ、これはほぼ福島第一と同規模だという。これが完全に発電停止状態にあるとすれば、供給能力は、先のブログの1割ではなく、2割ダウンということになる。それであってさえ、夏の修羅場は別にしても、先に述べたように冬場に比べて2割増の需要の見込まれる夏場対応の能力があるとすれば、大騒ぎする話ではないだろう。今回の災害で送電インフラその他に支障が発生したとしても、その修復は一時的な話ではあるまいか。
ことほどさように、情報提供が小出しな上に不親切きわまりない。独占企業の体質というのはもともとそうしたものだから、そこを摘出するのはマスコミの役目になる。印刷メディアの方は多少は質の良い情報をときおり掲載するが、TVのほうは全く期待できない。そもそもなぜ計画停電が必要なのか、という点については、東電が必要だといったから、というだけで満足してしまっている。往年の大本営発表、昨今の記者クラブ発表を忠実に読者に伝える、という体質は何も変わっていない。かつて英国でTVのことを idiots’ lantern(愚者のランタン)と呼んだというが、言い得て妙。当たり障りのない公式発表をなぞるような報道か、いっそ感情訴求的な「こんなに健気にやっています」式の報道のどちらかだ。出羽の守をやるつもりはないが、CNNやABCあたりの歯切れの良い質問や追求に比べると、まるで幼稚園。
もっとも一問一答やインタビューが下手なのは何も硬派の話題に限ったことではないかもしれない。身一つで津波を逃れて避難所にたどり着いた人にマイクを向けて「今何を感じてますか」、家族とちりぢりになって行方を探している青年に「ご心配ですね」9日ぶりに救出された人に「いまどんな気分ですか」アナウンサーというのが視聴者に代わって、その知りたいこと、聞いてみたいことを代弁するのだ、という基本がどこかへいってしまっている。考えてみればこれはマスコミ一般の通弊というべく、片時も黙っていられないという強迫観念にかられているかにみえるスポーツ放送のアナと解説者にも通じるものがあるし、さらにいえば、何の意味もないことをうるさく垂れ流している鉄道各社のホームや社内の放送も同根かもしれない。ニーズに関わりなく紋切り型を繰り返すのがプロの仕事だ、という錯覚にでもとらわれているのではないか。
2011年 03月 22日