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2016年7月1日

akira's view 入山映ブログ こんな時の政治(2)

 菅首相を降ろすの降ろさないのという話を大まじめでしている人がまだ存在する。TPOを弁えろ、という言い方がこれほどぴったりするケースはないだろう。先ず第一に、この難局をリーダー一人で切り盛りできる人なんぞいる訳がない。菅だろうが谷垣だろうが、石破、仙谷、個体差はゼロだ。そんな生易しい事態ではない。権力の座にある人、近い人、近づきたがっている人、力を合わせる知恵こそが求められている。真の解決策について知恵がないからといって、近場のあさってのターゲットに一生懸命になることでとりあえず仕事をしたつもりになる、なんていうのは沙汰の限りというべきだろう。

 政治は万能だ。それを心得た上で第二に、その途方もない力をいかに自己抑制するかが問われている。一番簡単な抑制というのは、限られた時間の中では何でも出来る訳ではない、という当たり前のことを認識することだ。今すぐせねばならぬこと、一ヶ月以内、半年以内。その仕分けが出来て始めて政治家だ。それが出来ないと、「前向きの姿勢で検討します」みたいな官僚答弁をする政治家が出てくるはめになる。首相が頼りなく見えたり、経産大臣が間抜けて映ったりするのは知識の不足(それもあるが)よりはこの見極めが出来ていないことに起因する方が遥かに多い。

 同時に政治家に求められるのは、専門バカに対して常識の求めるところを遠慮なく要求する機能だ。バケツがいっぱいになれば溢れる、というのも、限られた個数のバケツの容量には限界がある、というのも、原子物理学や高等数学の助けを借りなくても自明のことだ。それでどうしようもないから垂れ流します、というのを苦渋の決断とはいわない。下請け現場作業員に乾パンだけで仕事をさせるのはおかしいとか、自己犠牲に基づく不眠不休は数日が限度だとかいうのも、ほとんど常識に属する。現場主義をいうのなら、その常識が常識として通用していなければ通用させるのが役目だろうし、そんなことに気づくのこそが政治家だろう。

 記者会見や国会出席に作業服(あれはそういうのかな)で臨むのは、なにも呼び出しがかかることを想定して、着替えの分秒を惜しんだのではなく、見た目の姿勢、気構えやポーズが主眼だろう。それがメディアに映って、外国視聴者に日本はそこまで危ないのか、と思われたからにわかに着替えた、というお笑いは政治家にとって、有権者の視線のプライオリティがどれくらいのものかを象徴的に示す出来事だった。一人の例外もなく同一パターンで行動した、というのもコワイが、これまで指摘した数点についても、そろいも揃って同じ対応だというのは、これは面白いというべきか、情けないというべきか。

2011年 04月 05日



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