2016年7月4日
ガタの治療法(6) 島崎敏樹
テレマンのトリオソナタ、ヘンデルのフルートソナタ。途中からの出のところでも結構テンポもはずさず、「ハイ合格」と大教授から声が掛ったりする。やはり先生だ、あそんでいても生地がでる。
この晩、真夜中にからりとしずまり返った街路をうちへかえりながら、ふと私はからだ中の油のきれたあの異様ないたみと不快がすこしもないのに気づいた。休むとはぽかんとしている時間ではない。生き生きと生きることこそ、乾燥生活へ水をやる作業にほかならないのだ――そんなこと考えてみれば重々承知のことじゃないか。知っていて気がつかないのは、心がにぶい出来のせいである。