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2016年7月11日

akira's view 入山映ブログ 仮設住宅

 快適さは愚か、最低限のプライバシーさえ保証されない空間で永い人は1ヶ月以上を過ごしていることになる。暫定的な住居提供、あるいは仮設住宅の新設が急がれることは誰の目にも明らかだろう。ところが、4月16日までに完成する仮設住宅は276戸に過ぎないという驚くべき報道(4.16朝日新聞夕刊1面)に唖然とした。立地の問題もあろうし、ユーティリティの整備、建設資材調達など幾つもの問題があるのは理解できる。しかし親身に被災者の状態をなんとかしようと思ったら、現在只今の建設戸数が300戸に満たない、というのはいくら何でもひどくはないか。

 また、神戸震災の際の高齢者の孤独死という教訓にならって、仮設住宅や公営住宅への入居をグループ単位でなければ受け付けないことにした結果、371戸の募集に対して応募が35戸に留まっているという。杓子定規のお役所流とはいうまい。それにしてももう少しやりようはあるのではないか。どちらの話も、お役所仕事のアラ探しをしているのではない。お役所に委せておけば、いかに担当者が善意に満ちていようとも、こんなことが発生するのは予め予想は出来る。それに即応して、対策を指示するというのが政治家の仕事ではないか、と指摘したいのだ。

 一見些細で些末な現象をあげつらっているように聞こえるかもしれない。しかし、事態の展開に応じて的確に対処する、というのは、やたらナントカ会議を沢山作って5年後、10年後の日本のビジョンを描く以外に、こうした具体的な指示や対策を講じる、ということでもあるべきだ。ここでは数多い問題のなかから、住まいの問題一つだけを取り上げている。それでもこれ以外に、これまでの居住空間から遠く離れた住まいが提供されても、雇用、収入面での見通しが全く立っていない、とか、仮住まいの期間がどれほど保証されるのかが全くはっきりしない、といった、考えるまでもなく当事者にとっては「冗談じゃない」ような、最低条件さえ満たしていない話が沢山ある。

 「善処します」「全力を挙げて取り組みます」というだけで、具体策が何ら明らかにされない、と外国メディアは日本の原発事故対応に皮肉たっぷりだった。ことは原発だけではないのは明白だろう。スローガンや美辞麗句が必要とされる時もある。しかし、災害対策というのは、生身の人間の現在の苦痛や苦悩と向き合っている仕事でもある、ということを政治は忘れていないか。こんな自明ともいうべきことに気づいている政治家が一人もいない筈はないのだが。

追記;と書いてTVの参議院国会中継をみたら、自民党がやれ菅総理のあの発言はどうの、ナントカ会議の構成員はどうの、と、はては昔々のカイワレ騒動時の菅大臣発言までこねくりまわしている。この非常時に何をどうするかが全くお留守。自民党がこれでは、民主党のていたらくを嗤うわけにもゆかない。とは哀しいものがある。

2011年 04月 20日



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