2016年7月13日
光秀城記(2) 棟方志功
支度をしてお茶を飲んでゐましたら山川氏が、例の大本好みの、京三巾前掛に厚織ドンシ(・・・)の能装束の様な型の召物に、あのアツプといふのでせうか髪毛をデンゴロと上に丸げた格好で来てくださいました。
「チヤコも一緒にお願ひを、こうむります」といふので枚方駅から、京都駅、そこに丁度の汽車に乗つて保津川添ひに亀岡に参りました。
後で、知つたのですが、大本様の本構といふのは、亀岡城、いわゆる明智光秀の居城をその構にしてゐるといふ事を知りました。
明智光秀は、わたくしの好む武将の一人なのですが、とくに好みに合つた程の人なのですが、その居城に、はからずにも行けるといふ事を、大変に嬉しかつたでした。
出口虎雄氏と会ひ語りました。この方は、画家の出だと聞かされましたが、とても身清い静かな方で、大本御三代様妹御さまの御夫君であるといふ事も後で知りましたが、口数もなく、もてなしの清潔な振舞ひを、わたくし達は、よろこびました。