2016年7月20日
akira's view 入山映ブログ 近事往来(2)
今回は、被災地復興、特に一次産業をどのようにして再建するか、というテーマで書こうと思っていたのだが、国会の党首質疑の余りのくだらなさに、一言もの申さざるベからず、と考えた。が、マスコミの論調を見ていると、さすがに全会一致で何をやっているんだというお叱りのトーン。ならば、何もブログに書くほどのこともないか、と揺れたのが真相である。とはいえ、あれほど馬鹿馬鹿しい質疑を聞かされたら、誰だっていくらなんでもひどいじゃないか、と言うのは当たり前の話。一連の論調は、マスコミの健全さを示すものでもなければ、問題の核心に迫る能力を示すものでもない。
そう思っている矢先に、公務員給与の引き下げが大々的に報じられる。あの頑迷固陋で働かないことを労働運動と信じているかのごとき公務員の労働組合が、わずかひと月足らずの間に給与引き下げの提案にすんなり応じる、というのは眉に唾をつけたくなる話だ。これは裏側に昇級昇格の期間短縮とか、よほどのフリンジの改善とか、何かがあるのではないか、と疑ってかかるのが常識だろうと思うのだが、残念ながらそれに言及するメディアは今のところ現れていない。
という訳でやはり復興問題に戻ろうと思うのだが、この問題は大きくは二つに分かれる。一つは原発による放射能汚染による被害からの回復で、今ひとつはそれ以外の本来の、という言い方も変だが、震災、特に津波による被害からの回復である。前者は明らかに損害賠償の対象であり、それで全てが解決する訳ではもちろんないが、道筋については比較的簡明であると言って良い。内容もさることながら、対策決定の速度が問われることになるだろう。被害の態様と対策の複雑さ、さらには広汎さから、一層の知恵が求められるのは後者の方だ。海水に冠水した農地からの塩分除去、あるいは漁場・漁港整備といった基本的インフラ整備対策の財源や速度もさることながら、それらが一定の成果を挙げるまでの生活、あるいは収入確保が大きな問題になる。
単に収入補填のための財源手配といった議論に終わらせないためには、一次産業労働者の就労機会について様々なアイディアが必要とされよう。10万人とも言われる失業者のうち、一次産業従事者が仮に過半を占めるとすれば、例えば国内における就労機会の他に、海外における農・漁業の指導も視野に入れることも検討すべきだろう。途上国における思い切った農漁業のプロジェクトを展開すれば、数万人規模の就労機会は十分に提供できる。のみならず、震災に当たって世界各国から寄せられた温かい援助に報いるよすがともなると思うのだが。
2011年 05月 24日