2016年7月29日
現代文明と精神座談会(7) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
島崎 ぼくは山に行きたくて、行きたくてしょうがないんですよ。戦争で足を片方駄目にしてからなおそうですね。やっぱり鳥もそうですけれども、鳥は一羽でいると囀りますけれども、満足すると鳴いてくれませんでね。ぼくも山に入りたくてしょうがないものですから、ウズウズしているんです。ですから時々山の雑誌に寄稿させてもらって代償しているんですが……。
尾崎 私は戦争前、上高地に四、五年続けて行ったんですけれども、あの辺を歩いているだけで一度も登りませんでした。一度涸沢(からさわ)小屋まで行って、もう少しというところで風雪になってしまって帰って来ました。それ以後は行かないんです。
島崎 いま上高地はひどいですね。
尾崎 行かないんです。昔のイメージがどうなるかわからないから・・・・。