2016年8月10日
akira's view 入山映ブログ やらせ
原発を巡る公聴会で「やらせ」があったことを今頃気がついて、天に代わりて不義を討つ、けしからんといわんばかりのマスコミ報道にはいまさらのことながらあきれる他はない。あのテの集まりに「さくら」を動員するというのは別に目新しいことではなく、おやりになっているのも電力会社や原子力保安院に限った話ではない。そんなことはいわば公然の秘密であって、記者クラブ体質そのままに、見て見ぬ振りをしていたに過ぎないことは多少なりともこの種の仕事に携わったことのある人間ならば誰でも知っている。
だからといってその種の動員が正当化される訳でもなんでもないが、政局の裏話が大好きで、あの領袖がおでんを食べただの、くしゃみをしただのというネタにはあれほど熱心なマスコミが、この種の話になるとギョーカイ仲間にどっぷり浸かって真相追求の態度を全く喪い、溺れた犬を見つけた時だけかさにかかって正義の使者面をするのは片腹痛くさえある。マスコミがこのていたらくでは一般市民たるもの、制度的にそうしたなれあいが発生しないように目を光らせる他ないのだが、これがそれほど簡単なことではない。
一事が万事で、大学の研究費を業者のところにプールしておいて使い勝手を良くする、なんていうのも、大学関係者ならば殆ど常識に属するし、たまたま学内の権力闘争みたいな話に絡んで「告発」が発生した時だけ表沙汰になる。それを受けたマスコミが例によって始めて知った、けしからん、みたいな話になっているに過ぎない。問題の根っこが、単年度使いきりのお役所式予算制度にあることは明白で、独立行政法人制度になって少しは改善されたかと思っていたのだが、どうもそうではないらしい。ありていにいえば、計画した通りに一円の誤差もなくぴったしかんかんに使い切るのが予算というもので、それに従わないのは悪とは言わないまでも好ましからざる事態。よって余った金額は不要額として次年度予算査定に際してアタマからカットする、という仕組みに問題があり、報道されたような事態は、そのいささかグロテスクな解決手法に過ぎない。
この制度のお陰で、新しい公益法人制度が、あろうことかあるまいことか、組織の収入と支出は一致するのが大前提で。そうでないのはけしからん、とか、百年後の支出計画まで作成して提示せよという、およそ正気の沙汰とも思われないような定めを置くに至った。例によってマスコミは不勉強なのかどこかからの根回しが届いているのかは知らないが、こうした構造的問題には全く無関心で。公益法人と言えば「不祥事」というステレオタイプの報道にしか興味がない。それでも世界に例をみない発行部数を誇っていらっしゃるというというのだからご同慶の至りだし、まあ、マスコミの目から見れば大事なのは権力の側であって、一般市民ではない、ということだろう。いつのまにこんなことになったのだろう。
久しぶりのブログでしたが、またお休みを頂こうと思いますので、8月半ばにまた覗いてみて下さい。
2011年 07月 29日