2016年8月16日
現代文明と精神座談会(17) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
荻野 映画でもヌーベル・バーグというのがありましたね。
尾崎 はね返す方がやりいいんでね。
丸山 ところがおとなしい詩の読者は、詩を読んで一種の法悦感にひたろうとするから、もう詩はいやだ、この頃の詩はいやだということになっちゃう。だから詩そのものが狭くなって来るという傾向があるんです。書く人自身はおもしろい、前よりもっと魅力があるでしょう。しかし読者は減ってくる。
荻野 読者は減ってくるでしょう、おもしろくないと。
尾崎 一つには、なんでもいいからやって目を惹こうというのがかなりあると思うのです。
荻野 しかし病的じゃ、ね。
島崎 ぼく、病的とは思っていないんですが、もとは詩というのは生きることを讃えるものだといったでしょう。いまの詩は、ほんとうの死なんですね。(笑)つまり生きることを逆転した、そういう破壊的なものを心得て、求めているんじゃないですか。
荻野 しかし、ある青年によって特異的にそういう現象が見られるということは、病的だとは言えないでしょうか。