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2016年8月18日

akira's view 入山映ブログ 奥飛騨紀行

 湯治、という言葉が今時ぴったりな奥飛騨の温泉郷に一週間を過ごした。学生時代、毎年のように夏の北アルプスに登っていた頃には、精々でベース、あるいは登下山の通過点に過ぎなかった新穂高温泉であり、平湯温泉だったのだが、閲すること半世紀。かつて縦走した槍から穂高への稜線を、はるか麓から遠望し、わづかの遊歩道の散策にも息を切らしていると、月並みながら時間の経過を感じる。

 それでもその頃に較べて多少は経済的に余裕も出来たせいか、異なった楽しみもいくつか味わえなかった訳ではない。新穂高温泉山のホテル穂高の豪快な野天風呂はその一つ。ケーブルで川岸に降りてゆくと、プールと見まがうばかりの野天風呂が、槍と穂高を遠望しながら広がっている。ここは混浴で(といってもご婦人は湯浴みのためのガウンの様なものを身にまとう。東北あたりで時々お目にかかるあっけらかんとしたすっぽんぽん、という訳ではない。)、のどかな会話を楽しみながら川風に吹かれるという別天地。

 信州名物の朴葉味噌もさることながら、漬け物のステーキなどという珍品や、生簀からのぴんぴんした岩魚の塩焼き丸かじり、東京で飲むのとはまるで違った牛乳の味、麺類は全て侮れない他に、上高地五千尺ホテル喫茶室のコーヒーとケーキ、なんていうのもあった。夜もクーラーのいらない25・6度は東京から来てみれば別世界で、山並みと渓流、それを包み込む緑と湯煙を堪能した一週間になった。

 行く先々で中国人観光客の団体様に遭遇するのには、話には聞いていたものの、驚いた。それが、風習の違いなのだろう、ホテルのエレベーターの前といわす、出入り口と言わず、団体全員が蝟集しておよそ人に道を譲る、という振る舞いが見られない。途を遮るサムソナイトを移動するように身振り手振りで伝えると、睨みつけられてこちらが動かす羽目になる。決して愉快な経験ではないが、その昔、日本からの団体旅行全盛期には、花の巴里やロンドンで人もなげな振る舞いで顰蹙を買ったという。これとて多分悪意あっての行動ではなかった訳だから、所得向上とグローバリゼーションというのははてさて難しいものだと思う。

 ことが旅行者への違和感に留まっているうちは問題も少なかろうが、国内への異国民の受け入れ、という話になってくると、さて暖かく包含するほどの度量をわれわれは持っているだろうか。既に人口の相当部分が移民によって構成される地方都市もあるやに聞く。お得意の見て見ぬ振りではなく、ことが起きる前に手を打つ必要があるのではないか。ことが起きて大騒ぎしてもどうにもならないのは原発だけではない。

2011年 08月 17日



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