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2016年8月31日

akira's view 入山映ブログ 民主党税調

 民主党の税調なるものの抄録と思しきTV画像を観る機会があった。アマチュアぞろいの与党の中では、数少ないプロの香りを漂わせる藤井裕久会長の「この場は議論をする場というより、モノを決める場」である、という枕から始まった。国債の日銀引き受けは暴挙だと断じる同氏は、その出自からして、泥鰌首相どころではない財務省の申し子の様な政治家だ。だから財政健全化、増税路線の推進者であることは誰しも認めるところで、それに対して異論反論を唱える人が少なくないのは理解出来る。

 だが増税路線に反対するのなら、少なくとも10兆円程度の財源をどこから捻出するか、という提言がなければ政策議論にはならない。TVはサワリだけの抄録だったから余り断定的なことは言えないが、不況下の増税反対、赤字国債発行やむなし以外にこれといった提言は聞き取れなかった。姿勢論として藤井会長が、議員定数削減も同じ土俵で議論されるべきだと述べたと伝えられるが、もとより財源論として同列に論じる話ではない。参議院242名を全廃してみたところで、浮いてくる財源はせいぜい数百億円だろう。それに較べれば特別会計にたかる寄生虫征伐の方が何ほどか効果が大きいのは人も知るところだが、そんな議論さえ具体的に卓上に乗せられたという話を聞かない。わづかに外為の予備を取り崩せとか、国債整理基金を逆さに振れ、といった児戯に等しい議論が散発的に提示されているに留まっているごとくである。

 税外収入5兆円に藤井さんが自信を示したと伝えられるのが唯一のプロらしい議論のようだが、それとてどれほどの党内議論の積み重ねを経たものか、国民には知る由もない。自民党時代のインナーによる密室議論も決して望ましいものではないが、財務省のシナリオで素人が寄り集まってガス抜きをしている状態も、これが民主主義だと言われては迷惑至極。「お金が天から降ってくる筈もない」などというお話が選良の間でまじめに飛び交うようでは世も末だ。姿勢論を含め税外収入についての徹底した議論を情報公開した上で、「次世代に負担を申し送らない」というのが何を意味するか、はっきりさせることが肝要だろう。

 それにしても藤井さんも79歳。JICAの緒方総裁は84歳にして再任が決定されたようだ。わが国ではそんなに若い世代が育っていないのだろうか。財界が大御所に楽隠居の場所を提供して巧みに世代交替を図っているのに比して、いかにも知恵がないように見受けられる。総理を辞めたら議員も辞める、といった舌の根も乾かぬうちに生臭い発言を繰り返す政治家が健在なようでは、それも致し方ないのかな。

2011年 09月 23日



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