2016年9月5日
現代文明と精神座談会(31) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
尾崎 そういう人はいますね。谷崎精二さんが早慶戦好きで昔行ったんです。私を連れて行くんです。ついて来て来てもらわないと駄目なんです。自分はポケットにウイスキー入れている。「自分がもしどうかなったら、このウイスキー飲ましてくれ」(笑)もう何年となく春秋の早慶戦を見に行くんです。私は付き添いだ。(笑)一ぺんもひっくり返ったことはないんです。(笑)恐怖症ですね、汽車や電車に乗れない。
荻野 そういう病気があるんですか。
尾崎 小田原である会があって、谷崎さんが来ることになっていたんですが、こわくなって欠席です。
島崎 一度私が会った時に、「なんとかうまい方法はありませんか」と言っていました。
尾崎 私は大いに軽蔑しているんです。そういう神経を。ひやかしても、なに言っても駄目ですよ。
荻野 部屋の中に、いつまでも孤独で棲息していると、そういう状況になるんじゃないですか。
島崎 谷崎潤一郎さんの若い頃の作品にありますよ。
丸山 電車に乗ると恐怖症になる…。
島崎 同じようなのがあるんですかね。