2016年9月8日
現代文明と精神座談会(34) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
荻野 それは一種の職業病ですね。職業病と言えば、私なんかもそうですよ。眠れないから睡眠剤飲んで寝ても、お酒飲んで寝ても、玄関でこれくらいの音がしても、往診呼びに来たかと覚めちゃうんです。行きませんけれども、恐怖があるんです。往診呼びに来そうだなと思うと落ち着かなくてなにもできない。大雨が降った晩、これは大丈夫だ、もう・・・・。(笑)
尾崎 しかし洞窟以来の原始人の感覚というやつね、谷崎さんはそういうのが強い人じゃないか。乗りもの恐怖も・・・・。だって電灯会社と乗りものは、直接関係ないですからね。両方あるなら、あの人は非常に原始的な人だ。
丸山 萩原さんという人は、ドグマの多い人なんですけれども、アフオリズム全集にも「自己末生前」というのに書いているのですが、人類が昔の爬虫類に脅かされた時に、人間にはそういう恐怖が残っている。夜中に理由のない夢を見て大声を上げるが、夢そのものは記憶していない。声を出したあとで記憶している。そういうのもそうじゃないかなということです。これは学問的じゃないんです。詩人の感覚で書いているんですが、そういうのも説明つくんですか。