2016年9月15日
現代文明と精神座談会(39) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
島崎 顕微鏡の下の微生物を見ましても、地面でもみじの木の下で蟻が巣をつくっているのを見ましても、人間が一番でき損ないの生物じゃないか、人間は間違ってつくられちゃったんじゃないかと思うんです。だから造物主というのはうまくないと思う。ほかの生物の方がうまくやっている。摂理にうまく合って、滅びる時に滅び、生きる時に生きて、連綿と続いているでしょう。ヘラクレスが女の子のところに行かずにいてくれたらいいんですが……。
丸山 植物はいちばん完全な生き方をしているということを言うが、完全というのはどういう意味ですか。
荻野 最も合理的なという意味も含まれているんじゃないでしょうか。
尾崎 えんどうの花に、蜂が蜜を取りに入って行くのをよく見たことがあるんですが、あの豆科の花というのはうまくできていますね。蜂が入って行きますと背中に花粉がつくようになっている。それでこうやって入って行く。モソモソやって蜜を吸って出ちゃうでしょう。そうすると閉っちゃうんです。あと入れないんです、別のやつは。