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2016年9月19日

akira's view 入山映ブログ TPP(3)

 野田総理の賢明な判断で一連のTPP騒動はひとまず幕が引かれたように見える。総理談話を玉虫色に解釈しようと言う試みもまだくすぶっているようだが、所詮水を低きから高きに導こうというあがきに似たものだと見て良いだろう。今度の一連の問題処理を巡って、民主党はひとまわり成長したのではないか。党内意見が二分し、にもかかわらず首相の裁断で決着するという「成人儀礼」がひとまず機能したからだ。この後離党をいいつのったり、実行したりする議員が何人かは出るかもしれないが、常に3シグマの外に分布する存在はあることだから、真面目にとりあう必要もないように思う。

 それにひきかえ、自民党の対応は目を覆わんばかりだ。政権与党から滑り落ちるというのはこれほどの無力さを露呈するものなのか。賛成にせよ反対にせよ、党内議論やその帰結が全く国民に見えてこない。公党としての最低限の資格を持ち合わせていない、と言われても一言もあるまい。識見の豊富さにおいては民主党の及びもつかない議員があれほど多数存在しているというのに、まさに宝の持ち腐れと言うべきだろう。谷垣氏のリーダーシップ欠如がこれほど明白に露呈したことはない。終始一貫してぶれなかったのはみんなの党だった。惜しむらくはそれを国民にアッピールする手段に工夫が足りなかったのではないか。この党がブームを招来するためには、江田さんの鮮やかな予算委員会質疑だけでは足りない。渡辺党首の霞ヶ関とのせめぎ合いも、いまやどれほどの人が覚えているだろうか。

 権謀術数というレベルで議論するつもりはないのだが、大同と小異について、民主党の判断の甘さは少なからず既成権益を利することになっているように思われてならない。河村さんの愛知、橋下さんの大阪は好例なのだが、あのエネルギーとバイタリティを取り込めないというのは、さまざまな理屈はあるだろうが惜しんでも余りあるというべきだろう。民主党に出来ないのなら、みんなの党が率先してこのうねりを取り込むくらいのことは出来ないものか、と残念に思う。地方分権、既成権益打破、冗費節約、どれをとっても大義は共通している。いかに民主主義は目的ではなく手段を問うものであるにしても、機会には前髪しかないのもまた事実というものではないか。

 あれはぞっとしないから、というだけの理由でこっちを選ぶ、という選択はそろそろ願い下げにしたいものだと思う。そんな熱気のかけらもない民主主義が蔓延すれば、何のことはない官僚主導、既得権益擁護のアンシャン・レジームが息を吹き返すのは目に見えているからだ

2011年 11月 13日



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