2016年9月30日
現代文明と精神座談会(48) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
尾崎 ぼくはこの間、大磯の中学校で先生の集りがあって話をしてくれという。「あまりガリベンするやつは軽蔑しょうじゃないか」ということを言ったんですが、なんでもいい学校に入ってやるという競争、小さいうちから競争でしょう。偉くなって立身出世、そのあげくが国家の権力者になって国際戦争だ。勉強だとか、勤勉だとか、いままで美徳とされていたことを、ぼくはどうかと思うのです。もう少し怠け者になって、ノンベンダラリンと生きていたらいいんじゃないかと思うんです。
荻野 だけど、生きてゆかれない状態も出て来ますね。
尾崎 そうすると偉いやつがいくらでも金儲けちゃうから、ノンビリしているやつはしたがって貧乏しちゃう。だからそんなにかき集めるやつが出て来なければいいわけです。
荻野 そうすると共産主義にちょっと通ずるものがある。共産主義じゃなくても、社会主義に。結局文明の目標は、社会主義に向うでしょうか、――とも言えるわけですね。つまり大きな金持が出るから困るという考え方ですね。