2016年10月5日
現代文明と精神座談会(51:最終回) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
尾崎 ぼくは来そうな気がしますね。納まりつかないと思うのです。
荻野 ただ、遺伝的宿命は背負っていても、人間の知性も高度になった世界がいつか来るかもしれない。だから戦争なんてばかげたものをしない世界が来るかもしれない。
尾崎 その前に一ぺん、跛行状態です。精神のテンポが遅いから、片方が進んでもおっつかないでしょう。
荻野 そういう世界は来ないですかね。
島崎 私は悲観論者ですけれども、そのむこうに楽観があって、そのうちに核戦争で世界中駄目になる。残るところがアフリカの奥地。「渚にて」は、オーストラリアが駄目になったが、私はオーストラリアが残る、それからブラジルからチリー、南極、ああいうところは残ると思いますけれども、最も弱々しい人間が残って、弱々しい人間はたいてい善良なんです。だから今度コンゴみたいな黒人が残って、それがヘゲモニー取ったら、変った世界ができると思う。
尾崎 新たに何千年かたってね。
島崎 たれが残るということはないと思う。が、エジプトからギリシヤを通って現代に到った歴史はなくなると思う。
齊藤 これはそう向いていると思いますね。ヨーロッパ文明というやつがだんだんおかしくなると思う。
丸山 では、そのカタストロフィが出たところで終りましょう。