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2016年10月11日

akira's view 入山映ブログ 収束宣言

 野田首相の「収束宣言」は、一体誰に何を伝えようとしたのか。民主党歴代首相のご発言には首を傾げたくなるものが多かったが、今回のそれは中でもひときわ異彩を放っているというべきだろう。

 第一に原子炉は「冷温停止状態」だというが、その実原子炉内で何が起こっているのか、現状はどうなのか誰も知らない。誰も知らないということを皆が知っている。にも拘らず冷温停止「状態」だなどという子供だましの様なコトバまで発明して、一体どんな情報を伝えたかったのか。追加的な放射性物質の周辺環境への拡散がなくなった、とでもいうのなら解らないではない。が、大気、土壌、地下水、海水への拡散は依然として続き、その程度さえ明らかにされていない。要するに今日は昨日と何の変わりもないし、明日も今日と何の変わりもない。それがどうして「収束」なのか。

 第二に居住に適さない危険地帯だからという理由で、住居から退去させられた人々が、事故「収束」によって帰郷出来る可能性が出てきた、あるいはメドが立った、というのならこれは朗報だ。しかし、何を以て「危険」と見なすかという基準についてさえ曖昧模糊としている上に、除染の計画や規模も判然としていない、というのでは、一日千秋の思いで帰宅を待ちわびている人々にとっては、何らの付加価値もない意味不明の情報がまた一つ増えた、というだけの話に過ぎない。

 要するに、国民にとっても、被災者にとっても、今回の首相の宣言によってもたらされた情報の付加価値はゼロだ。そんな馬鹿馬鹿しい「宣言」は誰に何を伝えるためのものだったのか。現政権が事故の推移について極めて楽観的な立場をとっている、ということを内外に明らかにしようとした、というのなら、(その当否と効用は別にして)理解出来なくもない。さらに、お役所を中心とした責任ある立場の人々が、自らの事故後の対応を自己評価して、そこそこよくやっている、ことは穏便に推移している、と考えていることを伝えたかった、というのも(再びその当否は別にすれば)解り易い。いくら何でも国民世論や理解力を甘く見過ぎているのでは、と訝しむ向きもおありだろう。しかし、お役所に度し難く存在する「計画通り大きな齟齬なく」実行することに対する病的なまでのこだわりを理解すれば、霞ヶ関の常識は世間の非常識、というほんの一例に過ぎないのかもしれない。公表された工程表、そのステップ2の年内実施は至上命題だと考える人がいても不思議はないからだ。

2011年 12月 18日



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