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2016年10月14日

akira's view 入山映ブログ 懐古

 東日本大震災は発生から9ヶ月余りが経過したというのに、まだ思わしい復興への足どりというには遠い。のみならず原子力発電所事故の後遺症に至っては、その展望はほとんど五里霧中という有様だ。被害者を含む多くの国民が示した信じられないほどの粘り強さと連帯意識、消防、警察、自衛隊などが示した英雄的とも言える活動の数々、それに比べていかにも遅々として心こもらない政治の対応が白日の下に曝された。さらに問題なのは、対応の遅れを糊塗し、あまつさえ正当化しようとする無駄なエネルギーが消費され、肝心の対策に向けられる分がそれだけ減ったことだろう。

天災でさえも焼け太り、自らの利権拡大の好機と捉え浅ましくツバ付けに狂奔する人々は、もうこれは確信犯とも言うべき輩だから、論ずるだけ時間の無駄というものだろう。その手綱を引き締めるどころか、乗せられて振り回される政治家のだらしなさのほうこそ指摘されるべきだろう。とはいえ、ことは政治家に限ったことではなく、国民の善意の象徴とも言うべき義捐金、救援物資がいまだに罹災者の手に届かず、どこかに眠っている、という事実もある。組織とかメカニズムというものは、ある一定の規模を超えると柔軟な対応が出来なくなる、という典型例かもしれない。

 本来ならば、「官」の限りない自己増殖に歯止めをかけ、巨大化し非人間的になりがちな組織に「人間らしさ」をもたらすのはコミュニティであり、民間の非営利組織だった筈だ。この要素を抜きにしてひたすらに効率化、合目的性の追求に走れば、世に謂う人間疎外が起こるのはほとんど確実だと言って良い。八百屋さんや魚屋さんがスーパーやコンビニに駆逐され、横町のご隠居もさっぱり出番がない。民間の非営利組織に至っては、公益法人制度改悪という官僚組織の策謀のまえにほぼ息の根を止められつつある。

 一年の懐古がこんなトーンのものにならざるを得ないのはとても残念だが、強いて明るい要素を見出すとすれば、それはわれわれ日本人の持つ勤勉さと優しさではないかと思う。一見迂遠にみえるこうした美徳のバランサーが、人間の浅ましさや貪欲さを包み込んでくれることを期待するのこそ王道ではないかと考えるからだ。妙に抹香臭いところに最後は落ちたが、即効的な対策が期待出来る筈もないとすれば、息永く芽生えを育ててゆく他はあるまい。読者の皆様にとってきたるべき歳が素晴らしいものでありますように。しばらくお休みして、また新年にお目にかかります。

2011年 12月 26日



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