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2016年10月28日

akira's view 入山映ブログ 袖井孝子

 袖井孝子さんといえば、お茶の水大学名誉教授、シニア社会学会会長として日本の高齢者、介護問題の権威だが、筆者にとっては中学生の頃作文コンクールでどうしても勝てなかった悔しいライバル、の印象が強い。それはともかく、彼女が1月26日に開催されたシニア社会学会の社会保障研究会での、遠藤織枝・元文教大学教授による「EPAによる介護福祉士候補者と日本語」という報告を紹介しながら、EPAで来日したフィリピンやインドネシアの人びとに対する日本語教育がいかにおそまつなのにあきれている文章(http://blog.livedoor.jp/tsodei208/)はいまさらながら、さもありなんの感を深くした。

 この問題については先に(10.3.27「お役所仕事(3)」)も触れたが、資格取得に関門となっている日本語のバリアーを低くすべく発案されたプログラムなのに、厚生労働省は、もともと全く乗り気ではなく、政治家や外務省が勝手に決めてきたにすぎないと、お荷物扱いで、遠藤先生をはじめとする日本語教育学会のメンバーたちは、役所内をたらい回しにされたとのこと。やっと出来てはみたものの、短期間の日本語教育の後日本語の習得はすべて現場まかせ。そのための特別の予算はなく、施設にとってはまったくの持ち出しだという。

 介護現場での日本語には、「仰臥、移乗、入眠、開眼、与薬」など日本人が聞いてもよくわからないものが多々あるという。これを外国人に覚えろ、覚えなければ試験に通らないぞ、という感覚自体が常識を超越している。介護福祉士の国家試験には一部ルビをふることになったというが、たとえルビをふったとしても日常用語ではないために、その内容を理解するのは彼女たちにとっては簡単でない、というより、ルビを振って現状を糊塗しようとするのがいかにもお役所仕事のお役所仕事たる所以だといって良いだろう。問題の本質はなおざりにして対症療法のパッチワークでこと足れりとする態度は、例えば公益法人制度の基本的問題点について見て見ぬ振りをして手続き問題に矮小化する態度(10,8,9「詭弁」)と軌を一にしていると言って良い。ましてこれに尻尾を振って迎合する民間有識者の構図も気味が悪いほど類似しいる。

 先の試験では254名中3名が合格した。さて今回は何人が合格することだろう。介護現場の人手不足、少子化に伴う労働力需給のインバランス、労働力市場の国際化、いづれも耳にタコができるほど聞かされてきた言葉だ。その解決がオカミ委せになっていないか、それでよいのか、これまた耳にタコの話ではあるのだが。

2012年 02月 08日



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