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2016年11月2日

豊川海軍工廠戦没者慰霊祭 追悼のことば(1)渡辺みつ子


昭和六十年十月八日 桜ケ丘高等女学校 第一回卒業生 渡辺みつ子

  花もつぼみの若桜
五尺の命引き下げて
  国の大事に殉ずるは
我ら学徒の面目ぞ
  ああ紅の血はもゆる

 この歌詞の通り、学徒動員令とともに僅か十五才にも満たない女学生は、楽しかるべく、まなび舎をあとに学業を捨て、愛に満ちた肉親とも別れ、あたかも出征兵士のように駅前広場で家族を始め、下級生の皆さんの「海行かば水ずくかばね」の大合唱に送られて、御国の為にと悲壮にも出発致しました。
 それは十九年四月八日、三年生になったばかりの時でした。数日間は初めての寮生活で賑かに、浮かれた気持になる時もありましたが、しばらく日が過ぎると父母恋しく、我が家なつかしく悲しみのあまり、大声で泣き叫び度い思いにかられる時もありました。でも其の気持を押え、部屋の押入に夫々がこっそりと入って一人、ニ人、三人と中のしのび泣きは続いたものでした。
 豆粕や、干いも、干大根の入った僅かな食事にも堪えて火の気のない寒い部屋で、かじかんだ手を電球で暖めた夜もありました。



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