2016年11月10日
豊川海軍工廠の思い出(3)桜丘高校 特別講師 井口正夫
〈調質工場〉
十月十七(火)曇後雨
朝から各工場への配属が行われた。自分は機銃部調質工場に決った。現場で係官から細い注意を受け食堂で昼食、大豆の入ったおいしい昼食だった。
調質工場というのは銃身に焼き入れをしたり、バネを造る工場である。私はここで主に「九九式二十三ミリ機銃固定機薬筐押バネ」というバネを造った。 ボール盤や旋盤の使い方を覚えたのもこのときである。食事は当時の市民生活に比べると大変よかったように思う。大豆や豆カスなどの入ったご飯だったが時にはしるこが出たりいかの煮つけなどもうまかった。めずらしいものではいなごのつくだ煮や焼きとり(実はカエル)なども出た。