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2016年11月16日

晩春記(2) 尾崎一雄

 ところが、やがて私は、自分の誤算に気がついた。そして、「人智の進歩」を、手ばなしに喜んではゐられなくなった。さうして今では、知識ばかり進む人類の前途に不安を抱かずには居られぬ状態である。
 私は今、六十一才だから、平均年齢まで生きるとすると、あと五、六年である。人類の激しい破行的進歩から来るひずみが、まさかその間に、人間生活を破滅に陥れるだらうとは思はない。つまり私なぞの年輩の者は、先づ々々そんな破局を体験せずに済むだらう、は思つてゐる。しかし、だからと云つて、問題は消えたわけではない。
 宇宙ロケットや人工衛星で競ひ合う米ソ両国は、われわれ人間を、いつたいどうしようといふのだらう。どこへ連れていかうとするのだらう。どんなに強弁しようと、それが軍事力の優位競ひであることはあきらかではないか。
 多分、数年のうちには、東西両陣営の核武装は完成するだらう。無数の精巧にして強力な核兵機が双方の要所を狙って、精密な計算により備へつけられるだらう。ボタンの一と押しでそれらは一挙に地球上を灼きつくすだらう。



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