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2016年12月13日

鑑賞権の設定(4) 斎藤玉男

 由来この国の景観には何かしら独特の匂いがつき纏う。同じ植物を例にとって見てもこの国のナラにしてもブナにしても(シヤクナゲとなれば尚更であるが)、幹から葉から集落から受取れる感じはスイスやフィンランドのそれ等とは少しずつ違う。じかに物悲しさや空有(クウウ)を湛えると言うのとも遠い、他国の植物と比べて異質的などとは言えぬが、さりとて全然同種でもない微妙至極の独特さと言う外はない。一本の樹の姿にも林相のたたずまいにもハッキリそれがある。
 これはこの国の旧い思想のシミやオリやの沈澱し洗練されたあのサビやシオリの浸透物に因るものであろうか。この浸透物は景観を観賞する観賞者だけに浸透しているのであろうか。それとも観賞者を透して景観そのものにまで浸透し、この国の雑草や小工場の壁にまで浸透しているのであろうか。もし後者だとすれば、遠い昔の俊成、西行、利休、宗達から近くは小林秀雄、伊藤整に至るまで、更にワキ役としてはクローデル、モンローに至るまでが、この国の景観のサビ工合に対し責を負わねばならぬことに至らぬとは限らぬであろう。



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