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2017年1月5日

続鶯系図(3) 板倉靹音

 士族山ノ内某という人があった。この人は鶯仲間から言えばずぶの素人であったが、吉野町の鳥に付け子に通って、そのうちの一羽がものになった。ものになったというのは中・高・下げの三種の鳴き方を覚えたということである。しかし親鳥のきずをそのままに取って中音アタリがあったので、聞く人はこれを惜しんで、うんと声を張らせてみてはどうかと言った。急に声を張らせると大抵は下げが飛んでしまうので、玄人は中音のきずくらいはがまんしても下げを大切にして思い切った処置にはなかなか出ないものである。山ノ内某は盲蛇におじずで、言われるままに夜飼いの時間をのばし、明るい所へ出してじゃんじゃん鳴かせた。すると、中音あたりが殆んどなくなったばかりか、素晴しい下げを鳴き出した。鶯の生命は何といっても下げにある。ホッ・ホッ・ホッ・ホッ・ホッ・ホケッとフクリンの前に、出だしの細いキイーヨを長く引いた山下げの美事さ、みんな驚いた。これが大変な評判になった。



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