共立荻野病院コラム詳細
TOP > 共立荻野病院コラム一覧 > 失われた自然(1)-近ごろ感じてゐること- 亀井勝一郎
  • 診療科目一覧
  • 内科
  • 胃腸科
  • リウマチ・膠原病科
  • アレルギー科
  • リハビリテーション科
診療時間
  • 外来診療時間

    休診日
    月〜金 午前9:00〜午後12:00
    午後3:00〜午後6:00
    土・日・祝日・年末年始・夏季
    (3日間)
  • デイケア利用時間

    定休日
    月〜土 午前9:00〜午後4:00
    日曜・年末年始
  • 院内のご案内
  • 医師紹介
  • 共立荻野病院デイケアセンターフラミンゴ
  • 住宅型有料老人ホーム プメハナ

2017年1月25日

失われた自然(1)-近ごろ感じてゐること- 亀井勝一郎

 私は旅行する機会が多いので、様々の都市を見物するが、戦後、とくに戦災を蒙つたところほど町づくりが画一性を帯びてゐて、ちょつと淋しい気がする。商店街が一番似てゐて、特徴がみられなくなつた。ある程度やむをえないことだが、駅前広場の構成まで画一性を帯びるのはどうかと思ふ。
 駅はその町の玄関だ。第一印象は何んと言つても駅前である。適当に広場を設け、花壇などつくつてあるのはいゝが、大へん不細工な裸像があつたり、妙な抽象彫刻がおいてあつたり、それがどの町にもひろがつて行くやうで、かうした点でなぜ各々の町が独自の工夫を凝らさないか、私はふしぎに思ふ。
 たとへばその町が山国だつたら、杉の巨木を駅前に植ゑて、小さな森をかたちつくつてもいゝし、海辺ならちょつとした池を掘つて、魚を泳がせるのも一興だらう。地方色の失はれやすい時代だから、せめて駅の付近にでもそれを生かして、旅人を喜ばせてほしいと思ふが、そんな工夫のみえるところは殆んどない。



共立荻野病院コラム一覧へ戻る