2017年2月17日
食もの(2) 中川一政
さて、食事である。食事はどこへ行っても大味でまずい。そして量が多いから食べる前にがっかりしてしまう。若い時に来なければとてもつきあえない。名物の牛肉の串焼を案内された。日本人六人で三人前の肉が食べられなかった。
彼方の人は酒をちびゝゝ飲み、談笑しながら皆食べてしまう。木の根をかじるような肉である。みなよく食べ、みな頑丈である。胃袋も獣のようなのであろう。実際、人間は沢山食べると獣に近くなるだろう。胸毛は勿論背中一ぱい毛がはえてくるだろう。
リオ・デ・ジャネイロからフランスのル・アーブル港までフランス船にのって行くことにした。英国のジエツト機が度々墜落したことがあり、飛行機ばかりの旅であったから、船に乗って行くのもよいと思ったからである。それで、三度三度フランス料理を食べる事になった。