2017年2月27日
酒二題(4) 藤原義江
お酒と歌手、こう云えばわたしはすぐ、故人となった有名なテナー、ジョン・マコーマックを思い出す。彼は常にシャンパンを楽屋に用意しておいて、舞台から入るごとに一杯ひっかけていた。
また、シャリアピンも有名な酒好きで、ウオッカを離したことはなかった。
女流歌手でも、男にひけをとらない酒豪はかなりいる。最近日本へきたメトロポリタンのプリマドンナ、スティーバー嬢はウイスキーが好きで、毎日欠かさず飲んでいる。
また、スエーデンが生んだ一代の名テナー、ビヨルリンクも有名な酒豪である。もっとも彼は余り大酒をした為に健康を害して、二年ほど舞台から遠ざかっていたが、その後見事なカムバックをしたことは周知の通りである。酒の好きな歌手で、その影響のために舞台をこわしたり、休んだりしたという話は余りきかない。