2017年3月9日
現代文明と精神座談会(6) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
荻野 ああ、Kさんというのは、それじゃ実話・・・・。
尾崎 実話ですよ。私もあそこに行って泊ったことはあるんですけれど、あの人はいなかったですね。樺太かどっか行ってたんですね。小鳥島の対岸で志賀さんが焚火したということが書いてあるんです。「焚火」という小説ね。まねしようと思いまして、枝を集めて(笑)やったんですが、どうしても燃えない。なんか一種の象徴みたいな感じがして、いやになって帰って来ました。
荻野 燃えませんでしたか。
尾崎 いろんなやつが「焚火」を読んで焚火するとみえて、焚火する跡が歴然とあるんです。みんなまねしているんですね。燃えたやつもあるし、私みたいに駄目だったやつもあるんでしょう。
斎藤 焚火はなんでやるんですか。
荻野 あそこは、たしか木の葉ということを書いてありますね。
尾崎 枯枝なんて……。「白樺は濡れでても燃えるよ」と書いてあるんですけれども、私は燃えなかった。(笑)
荻野 「焚火」のなかに婦人が出て来ますね。志賀さんの奥さんですか。
尾崎 そうですよ。