2017年4月7日
現代文明と精神座談会(25) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
尾崎 そうです。そうしたら東京新聞からそれを新聞に転載させてくれないかと言って来た。こっちはゲラができている。遺族も承知しているからいいでしょうというので、東京新聞に絶筆として載せることになった。「風報」の方は、絶筆なんて文句入れるひまなしに出したから・・・・。原稿だけは私が大事にとっていますが、坂口安吾の絶筆も「風報」でしたよ。こっちは不案内ですから病気がひどく悪いなんて耳に入らないもので、つい頼んでしまった。
丸山 すこし不健康な人は書くのをいやがりますね。
尾崎 青野さんもそうらしいですよ。
丸山 話がそれるかもしれませんが、青野さんは苦しまなかったそうですよ。
荻野 肺臓癌は苦しまないんですね。
島崎 最後はどうなんですか。
荻野 最後はなんとなく衰弱死ですね。意識はわりあいしっかりしている。だから肺臓癌がいちばん手遅れするらしいんです。わりあい食べられますし……。
島崎 大きな影が出るようになっては駄目ですね。
荻野 駄目ですね、大きな、こんなのが出ますよ。レントゲンの間違いかしらと思って、よく撮るんですが、近頃それが多くて困りますね。