2017年4月13日
現代文明と精神座談会(29) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
丸山 だけど排気ガスの匂いとか、石炭の匂いとか、ああいうものをわりあい気にしない人があるでしょう。健康には非常に悪いんでしょうけれども、私なんかああいう機械油の匂いとかいうものは、そう嫌いじゃないです。よく作家や詩人なんかで非常に嫌う人がありますね。緑の木の葉や草の匂いを非常に好く人がありますね。機械とか、ああいうものを見るのもいやだし、匂いがいやだという人がいる。
荻野 その匂いで喘息の出る人があるくらいですからね。
丸山 子どもの頃、まだ車が珍しかった時は、ガソリンの匂いはよかった。
尾崎 ガソリンの匂いそのものは悪くないんですよ。
島崎 小学校の時は、時たま町を通りますでしょう、車が。それを追っかけたり・・・・。あの匂い、甘いものですよ。
丸山 憧れが手伝っているんでしょう。
尾崎 昔、高町というのがあるんですよ。あのアセチレンの匂いはよかったですよ。しかし現在の東京の交叉点は、そんなこと言っていられない、ムカムカする。