2017年5月9日
現代文明と精神座談会(43) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
島崎 ぼくはドイツの女の人の前で、アウシュヴィッツのことをうっかり聞いたんです
斎藤 ぼくもちょっとそれを聞いたんです。
荻野 なんと言いました。
島崎 「われわれすべてが責任を感じている」と言うんです。日本人なんかはニャニヤ笑って、「東条が・・・・」と言っちゃうんですけれども、厳粛ですね、さすがですね。
荻野 ここにもドイツ人が教えに来るんですが、ぼくもうっかり話したのですが、黙っておりました。この人は東ドイツから逃げて来た人なんです。それで西ベルリンに帰ったのですが、なんにも言わなかった。批判しないんですね、黙っていた。
島崎 ドイツではタブーになっているらしいです。たいへんなことらしいですね。
荻野 なんにも言わなかった。それで話題をすぐ変えちゃったんです。「アウシュヴィッツ」と、一つだけ言ったのですが、いいとも、悪いとも、なんにも。
島崎 断言しましたよ、「アルレス・シュルリッヒ」(みんなの責任)と。
荻野 そういう意味も含まれることになるんですかね。
斎藤 聞いた人も、聞かれた人もそういうことがある。