2017年5月11日
現代文明と精神座談会(45) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
島崎 これは、たいへんなことになった。(笑)
斎藤 もう、前も後もなくなりつつあるんじゃないか。
丸山 そういう感じしますね。結局前とか後じゃなくて、生きている、生きようとしているんじゃないですか。
斎藤 どうしたら生きられるかということでしょうね。生きるという自信もないし、また生きられないという絶望もないし、その間でしょうね。まあ、われわれ科学なんてものに引き込まれちゃって長い年月引っかかっちゃったのですが、尾崎先生みたいな生き方を拝見すると、羨やましいですな。
尾崎 いや、科学の進歩というのちょっとも悪いことではないと思うのですがね。権力と結びつく場合にいけなくなるんでしょう。
荻野 利用の仕方ですね。科学は進歩しなければ困る。
尾崎 だから悪いのは権力欲の盛んなやつで、権力欲というのは功名心を皆が持っているから、そういうのの強いやつが政治家になって一国の指導者になり、民族の指導者になってやり合って、そのあげく手段を選ばないということになって、こんなことになっちゃったと思うのですが、そういうやつをなんとかして手綱しめるようなことを、皆でするよりほかしょうがないんじゃないですか。